多色染めの糸は、一本で編んでももちろん素敵ですが、他の糸と引き揃えると思いがけない色が現れる楽しさがあります。
今回は merino lace single の「Isn`t it ironic?」をベースに、いろんな色を引き揃えてみます。
違いがわかりやすいように、引き揃えに使うのは全てcowgirlbluesの kidsilk (モヘア糸)です。
まず、爽やかなブルーのguinea fowlと引き揃え。どうなるでしょうか。
↑guinea fowlはホロホロ鳥のこと。ホロホロ鳥ってどんな鳥?と思われた方、画像検索してみてください。なるほど、この色か。と思う (はず) です。
やっぱり爽やかな色になりました。モヘアの影響力はかなり強いのです。ブルーの中にちらちらと見える色が水の中のようできれいですね。
次は、今回の引き揃えの本命だったoliveと。
↑並べるとなんとなく美味しそう。美味しそうに見える組み合わせは、編んでもやっぱり相性が良いように思うのです。
予想通りかわいいです! ベース糸にも緑が混ざっているので、自然に馴染む感じがします。
ベース糸の色に影響が少ないように、薄い色を合わせるとどうなるでしょうか。合わないはずは無いけれど、あまり面白くないかな…と思いつつ、silver foxを引き揃えてみます。
編むと、想像以上に素敵な色合いでした。面白くないなどと思って悪かった!全体に色の深みが増しつつ、ちらちら混ざる色もきれいに映えて、いいですね。実際にやってみないとわからないものです。
では逆に濃い色は…? indigoを合わせてみます。
やはり強いモヘアの影響力。ちらちら混ざる色はだいぶ奥に引っ込みますが、感じられない訳ではなく、こういうのも良いですね。なんとなくデニムっぽい。
どんどんいきます。次は、落ち着いたいい色のmushroom。グレーとベージュの間のようなこの色は、何にでも良く合うし単色で編んでも美しく、大好きな色です。
↑名前のせいでしょうか。これもなんとなく美味しそうな組み合わせ。
マッシュルーム色とグリーンが引き立て合ってよく似合う! 春っぽかった「Isn`t it ironic?」が秋冬色になりました。
最後に、これは無いだろうと思った色を、実験のためにわざと合わせてみます。並べた姿がなんだか甘すぎて…と思った、faded roseです。
全く期待せずに編んだのに、とっても可愛い色になりました。少しグレイッシュな、なんとも可愛い桜色!
一番好きな組み合わせを見つけようと試してみましたが、どれにもそれぞれ良さがあり、一番を選ぶのが難しくなってしまいました。
見ているだけでわくわくする多色染めの糸ですが、編んでみたら色の出方が想像と違って扱いに困ることもあるのではないでしょうか。そんな時には引き揃えてみると、自分の好みに寄せられるだけではなく、思いがけない素敵な組み合わせが見つかったりします。
あまり悩まず、なんとなく好きだな、面白そうだなと思った色を直感で選んで、後からその糸の良さを生かす道を考える、というのも手染め糸の楽しみ方の一つだと思います。どこにもない、自分だけの編み地をぜひ見つけてみて下さいね。
なかなか終わらないこの連載。次回は kidsilk gradient をベースにして、いろいろな糸を引き揃えてみますので、もう少しお付き合い下さい。