ドイツから来た愛すべきかさかさ糸、Hey Mama WolfのYLVAで編んだセーターです。
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水通ししたら寝ていた毛足が起き上がり、あなたはリネンではなくウールだったのね、という姿になりました。
今日はYLVAの生い立ちについてご紹介します。
YLVAのための原毛はドイツの北部・東部の小さな羊牧場から集められます。ノンミュールジングであることはもちろんのこと、オーガニックウールを名乗るための、細かく定められた水準をクリアした環境で飼育された羊から刈られた原毛です。
それは例えば、餌の牧草も無農薬で栽培されていたり、一頭一頭の羊達にストレス無く過ごせるスペースが確保されていたりといった、羊を取り巻く環境だけではなく、最後につけるラベルの印刷過程に至るまで、毛糸が出来上がる全ての工程で、環境に負担の少ない方法が採用されています。
集めた原毛は、繊維の太さ(ミクロン)により選別され、編み糸向きではないと判断されたものは毛布の材料になります。さらに繊維として使えないものは園芸用の肥料にするなど、何一つ捨てる部分がないそうです。
原毛は羊の種類で選別しているわけではなく、色々な羊が混ざっていますが、編み糸に適したミクロン数の羊はMerino landrace (メリノ・ランドレース /ドイツのメリノ種)で、大部分はこの繊維だと聞いています。グレーっぽい繊維はPommerian Landrace (ポメリアン・ランドレース)だそうです。そして、今回私が編んだ亜麻色糸はCoburg Fox(コーブルク・フォックス)という、ドイツ原産で絶滅の危機に瀕している羊の糸でした。
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初めて見たとき麻の間違えでは?!と思った黄味がかったベージュは、Coburg Foxに特有の毛色だそうです。こんな色合いの羊さんがいるんですね。
ベルリン動物園
https://en.wikipedia.org/wiki/Coburger_Fuchsschaf
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まさかそんなに稀少な羊さんの毛だったとは知らず。
お話を聞くだけで作った人達の愛情が伝わってくる、気が遠くなるような手間をかけて作られた糸なので、末長く着ていきたいと思います。
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洗って糸が膨らんだとはいえ、基本的にかさかさ系で素朴な手触りです。
でも、羊そのままという風情が愛おしく、かさかさしていることが決して嫌な感じはしません。
私の場合は下に何か着れば問題なく着られますが、とても敏感肌の方や、チクチク感がどうにも苦手な方は、重ね着が前提のベストやカーディガンにするのが安心かと思います。
糸に張りがあって模様がくっきりと浮き出るので、立体感のある編み地が良く合います。
そして一つ大発見が。いつもはセーターの下にヒートテックを着ていますが、ヒートテックの上にこのセーターを着ると、裸に直で着る以上に激しくチクチクするのです。
ところが、綿の長袖Tシャツの上に着ると(薄い生地のものでも)チクチクしません。
しかもその方が暖かい気がする!
今まで冬にはヒートテックを第二の皮膚のように手放せないと信じていたけど、これから綿に入れ替えていこうかしら…と思った出来事でした。
薄くてすっきり着られるのがヒートテックのいいところなのですけどね。
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ご参考までに記しますと、パターンはIsabell KraemerさんのAlhambra。
XSサイズをパターンの指示より短め丈に編んで295g使用(約710m)。メリヤスのゲージが3.75mm針で21目32段。ゲージや試し編みに糸を使ったため4かせ使いましたが、それが無ければぎりぎり3かせで編めたようです。もっと大きいサイズやパターンの指示通りの着丈に編んでも4かせで足りるはずです。
ちなみにYLVAとは、雌の狼という意味の女性名。なるほど、と思う美しく野生的な糸です。